一元論と人体エネルギーの表面的矛盾

実は私自身、ある時期までエネルギーワークについては意図的に触れないようにしていました。というのも、波動やチャクラに関する関心は、霊的学びと実践とは直接的に関係ないばかりか、かえって害になると考えていたからです。

キリストとブッダは、私たちが霊的進化を遂げて解脱するための方法を説きましたが、人類の中で最も賢明な方々がエネルギーの扱いについて触れなかったという記録に基づいた事実には、深い意味があるはずです。私はこの考え方から逸れない在り方を長い期間守ってきました。日常での自分の心の状態を注意深く観察し、心と行いを変える努力に専心してきました。

しかし一方で、チベット密教やヨーガ、別のところでは西洋魔術の教えには、エネルギーの観想やチャクラに関する記述や開発法が確かに存在します。「世界はマーヤー(幻)」であり、「神のみが実在する」という不二一元的なものが真理と言われている反面、二元的であるはずの人体に集中する行法があるのです。

この一見すると矛盾する真理の教えについて、私は一つの仮説を立てています。キリストやブッダの教えは大衆に広まることを想定した、”最大公約数的な教え”、つまり「最低限これをすれば心は浄化され、人類の目的である霊的成長へ向かう」という教えであるということ。そして密教やヨーガにある人体のエネルギーに関する教えは、その最大公約数的な教えを大前提として、さらに専門的により早く、そして効率的に覚醒に至る道としての手段なのではないかという仮説です。

この仮説を推し進めることができたのには、エネルギーへの理解とその私たちへの実際的な影響への理解のふたつがあったからです。

エネルギーの役割

そもそも ”私” という存在は、情報の集積によって形成されています。情報とはある側面では波動であり、特定の性質のともなったエネルギーです。このエネルギーの状態によって私たちの思考や行いや言葉は決まります。あらゆる物質がエネルギーのとる形態の一つの状態であるという、物理学的事実を踏まえても、私たちはエネルギーの状態によって全てが左右されていると言っても過言ではありません。

私が長い期間取ってきたスタンス、つまり心を変えるという過去からの宗教的なスタンスは、この目に見えないエネルギーに対して認識できるレベルから取り組むことであると言えます。

するとエネルギーワークは、このエネルギーに対して直接アプローチすることで早く結果を出してしまおうという、比較的科学的な取り組みであるということができます。

かといって、ここで従来の伝統的な心の訓練が比較して劣っていることにはなりませんし、むしろエネルギーという観点を身に付けた後では、さらにその伝統的な訓戒と規範の重要性を確認することになります。なぜなら、日常におけるあらゆる判断とそこから生まれる発言や行動は、より具体的でクリティカルなエネルギーワークであることに遅かれ早かれ気がつくからです。

エネルギーワークに関する私の考え

私はここで、スピリチュアル界隈では比較的少数派に属する意見を述べていると感じています。と言うのも、現象の根底にあるエネルギーの力と重要性を肯定しつつも、それについて公で触れることのなかった覚者の基礎的な教えを学び実践すること以上に大切なことはないと確信しているからです。

一般的なスピリチュアルでは、波動を高めるとか、浄化するというエネルギーの状態に焦点を当てがちです。そこには真理のダルマ(法)を実践しようという熱意や、帰依の気持ちが欠けているように感じますし、低位我の願望実現や、危険や不幸の回避といった利己的な動機を安易に肯定して、その人たちの真の霊的な成熟をかえって妨げているような気がしてならなりません。

そして実際、そういった霊的利己主義の行先は、仏教の六道輪廻でいうところの餓鬼や畜生、阿修羅の世界です。本来はこの輪廻の車輪から抜け出すためのものであった教えや手段を、車輪を快適に回るためのツールにしてしまっています。ブッダ、つまりお釈迦様の「この世は苦である」という第一見解を無視したスピリチュアルとその行法は、動機の根底からして極めて危険であると言ってよいと思います。

そこへ来て私がなぜエネルギーワークを採用しているかと言いますと、それは私たちが日々正しい教えに則って生きることを力強く助けてくれるからです。重要なのは動機です。そして、極めて平均的な進化段階にある私たちにとって最も関心を寄せるべきは、目の前にある日常生活を具体的にどのように送るかです。「世にありながら、この世の者ではない」無執着の態度をとりながら、神の愛のより優れた純粋な経路になることが、私たち人類が模範とするあり方です。

エネルギーワークは、正しく用いられれば動機と日常生活の質を同時に高めていくことができます。またエネルギーワークは、これまで治らないとされていた心身の症状に、驚くべき速さで変化をもたらすことさえあります。回復には一生かかると考えられていた精神症状も、エネルギーの流れという原因に干渉することで、数日のうちに良い方向に持っていくこともできます。これは例えばハタヨガを10分やるだけでも気持ちが前向きになるといったことに分かりやすく現れている事実です。

私は、皆さんに、最高のものを受け取ってほしいと思っています。そして最高のものとは、真理の法(ダルマ)です。エネルギーワークは、その最高のものに常に心を合わせて行います。問題の解消という副産物もたくさんありますが、皆さんを一番重要なものから注意を逸らさせるようなことはしたくないと、心から思っています。

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