ヨーガスートラ① 目的と方法、そして結果

人類にヨガ(合一)の模範を示すために下生したとされるシヴァ神

全ての人間は同じところから出て、

違った道のりで同じゴールに向かいます

スタートとゴールが同じなら、

本質において道のりも同じはずです

つまりインドに生まれてインド人らしく生きようと、

イギリスに生まれてプライドを持って生きようと、

あるいは私たちのように日本に生まれて生きるとしても、

その内的成長のプロセスは概ね同じものになります

つまりそれは、エゴを手放してより高い生命表現に緩やかに移行していく道のりのことです

このプロセスを現代で最も具体的かつ段階的に示した書物として、

私は「ヨーガスートラ」を挙げたいと思います

ヨーガといえど、それはインド周辺の人だけに適応されるものではなく、

その恩恵を今、全人類が受けるべきものであると考えます

というのも、「ヨーガスートラ」の内容は、

例えばキリストの生き方と「山上の垂訓」、

キリスト教以前のエッセネ派に代表されるあらゆる宗教の規範、

ユダヤの十戒、カバラ等の秘教、仏教の5戒、

そして日本古来の精神性などと非常に似通っており、

同じ内容が異なった文化的表現になっているようにしか見えないからです

「ヨーガスートラ(以下「経典」)」にある八つの方法を実際に行うことにより、

私たちは苦しみという幻想を離れ、

より本質的な達成とそれに伴う満足を学びます

この詳細な八つの方法は、

私たちの持つ漠然とした霊的達成のヴィジョンと、

平凡な日常生活の間に橋を架けるものです

曖昧な個人的感覚ではなく、

私たち人類の普遍的霊的道のりに沿って進むことは、

私たちに大きな恩恵があります

※ヨーガスートラには多数の翻訳がありますが、ここでは私自身が学んでいるアリス・ベイリー著『魂の光 ーパタンジャリのラージャヨガ経典ー』に倣います

全体の構成

この書は四つのパートに分かれており、

読み物としてはたった数ページに過ぎないものです

しかしその簡潔な内容には、

・驚くべき重層性
・厳密な科学性
・熟考を余儀なくさせる象徴的表現

などの特徴があり、真剣に学習する人にとっては最高の経典です

「第一の書」では、

ヨーガスートラの全体像が余すことなく示されています

また、「目的」・「現状を説明する意味での過去」・「達成を妨げる要因」について簡潔に述べられています

「第二の書」では、

いわゆるヨーガの八支則と呼ばれる、

霊的覚醒への具体的なステップのうち1〜5までが示されています

「第三の書」では最後の三つが示されており、

主に瞑想とその結果に関する内容です

最後の「第四の書」は、

おそらく全てを完全に成し遂げた魂のための内容ですから、

今の私には云々できませんが、

1〜3までの学びを補完する内容にもなっています

重要なポイント

なんでもそうですが、

まず大切になるのが目的ですね

「自分はなんのためにこれを学ぶのか」

ここをいつもしっかり押さえておくことで、

ちゃんと集中して時間と労力を投下することができます

ということで、経典の最初はこのように始まります

1 アウム(オウム)。以下の教えは合一の科学に関するものである。

これに引き続き、方法が簡潔に示されています

2 この合一(ヨガ)は、欲求と感情を征服し、心の働きを抑制することによって達成される

次に結果が明示されます

3 これが成し遂げられたとき、ヨギは自分自身のありのままの姿を知る

1は目的ですね

合一とは魂、内なるキリスト、真我との合一であり、

いわゆる覚醒です

また、それによって引き起こされる以下の状態も目的に含まれます

・魂との意識的接触
・魂の意図を肉体的意識に落とす
・真の自己による非自己(パーソナリティ)の統御を可能にする
・魂の力を日常で感じ、それを実際に顕現する力を手にする

この目的については多くの人が憧れを持ちます

そしてその目的と現状とをつなぐ「糸」として、

経典の中では八つの実践が与えられています

ちなみにサンスクリット語の「スートラ」とは、

現代では経典という意味が与えられていますが、

本来は「糸・紐・線」という意味があります

つまりスートラとは、私たちと目的とをつなぐ「糸」なのですね

二つ目のスートラでは、

その糸、つまり方法について述べられています

「第二の書」の中で与えられている以下の八つのテクニックのうち、

1〜5は欲求と情緒を征服することに関係し、

その準備ができた時に初めて、

6〜7のテクニックを使用することで心の抑制に取り掛かります

1 訓戒(ヤマ)
2 規範(ニヤマ)
3 姿勢(アーサナ)
4 生命力の正しい統御(プラーナヤマ)
5 抽出(プラティヤハラ)

6 集中(ダラーナ)
7 瞑想:集中の継続(ディヤーナ)
8 観照(サマーディ)

明らかな目的を持った私たちの前に、

具体的な方法が示されました

すると個人は様々な問題に直面することになりますが、

3のスートラではこの努力に対する報酬(結果)が示されています

これをいくつかの異なる方法で描写すると、こうなります

・内なる神に目覚める
・地上的意識ではなく霊的意識によって生きる
・エゴの非実在と実在するものについて事実として把握する
・「道」を修め「道」そのものになる

また「第四の書」には、こう記されています

様々な障害を除去し、全ての鞘を浄化することによって全知識を手に入れたとき、その人がすべきことはもはや何もない

第四の書:スートラ31

この3つの中で既に示されたように、

「こうするとああなりますよ」

と最初に明言しています

これは真我の覚醒が意図的に行われるものであることを示しています

と同時に、決してあやふやではない、

明確な因果関係によってこの合一が引き起こされるという点にも、

私たちは注意を向ける必要があります

これが「科学性」のゆえんです

つまりヨーガの八支則を身につけた人間は残らず全て

「キリストに似た者となる」(ヨハネの手紙 第一3章2節)のであり、

キリストとはまさに、

イエスが「私は道である」と明言したように、

ヨーガ(合一)の「道」を修め、「道」そのものになった存在なのです

今回はこの辺で^^

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